うるう秒

 うるうの漢字の「閏」は、昔中国で閏月には王が門内にいたことから作られたという。閏月は太陰暦とともに廃絶されたが、閏年制はいまも残り、更にうるう秒という言葉が毎葉7月1日が近づくと話題になる。

 理屈はともかく、うるう秒とはどういうことかというと、7月1日午前8時59分59秒のあとに、もう一つ59秒をおいてから0秒とすることである。1秒をさし入れるから閏秒という言いかたはふさわしい。うるう秒を入れる原因は地球の自転にあり、現在自転は減速の傾向にあるから1秒余分に入れるということになるが、将来加速に転ずれば1秒減らすことになる。

 長い間正確無比であると考えられていた地球の自転周期は、実はそれほどでもなかったのである。今日の時間単位の秒はセシウム放射線の周波数で決められ、これを「原子時の秒」と呼んでいる。一方時刻は地球自転に基づいており、恒星観測で決まる地方平均恒星時に、天文台の経度と極運動による経度変化を補正すると、グリニッチ基準の世界時UTI(Universal Timeの略) を得る。    

 そこで原子時の秒を刻み、地球自転に基づく世界時の時刻を示す時計を運転していると、観測世界時と次第にくい違ってくる。このくい違いが0.9秒を超えないように管理する時系を「協定世界時UTC」と呼ぶ。NHKの時報はUTCに基づいている。すなわち(UTI-UTC)<±0.9秒の操作がうるう秒である。現在自転の減速はほぼ一様で、1972年以降1月1日か7月1日に毎年うるう秒が挿入されている。


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LinkIcon(社)日本測量協会発刊 月刊「測量」より抜粋