地球潮汐

 日本の測量器械は日本工業規格(JIS)に合格していなければならない。ところが、このJISは部品の性能についての制限規格であって、測量現場では極めて重要と思われる一つの器械としての観測性能にはまったく触れていない。このような観測性能に対する規程は、建設省公共測量作業規程などのなかに多少見つけることができる。

 水準儀(レベル)を例にとってみよう。同作業規程の第62条運用基準第2項には、水準儀の傾動軸が垂直軸中心線を通らないことによって生ずる系統誤差を軽減するための点検測定の方法が書かれている。これは、やはり同規程第64条観測の(5)項の注意を忠実に守れば、だいたい消える性質のものであるが、点検をしておくにこしたことはない。その点検方法の細部はともかくとして、これに類する器械としての総合性能の規程集を整備することは、測量者の当面の任務であろうと思われる。

 いま、インバール製精密水準標尺を約60m離して立てる。固定すれば精度も上がるし、一人で作業することもできる。ここで水準標尺の検定や作業前に行う水準儀の諸調整は、すませてあるものとする。両標尺の中点に水準儀をセットして、普通のとおり測量する。終わったらいったん三脚をもち上げセットし直して、再度測定を行う。このとき規程第64条(5)と同様の手順をとる。これを約30回繰り返し、合計距離約2kmから、1km当たりの往復差を計算する。これは最近入手したアチラの記事の紹介である。

LinkIcon(社)日本測量協会発刊 月刊「測量」より抜粋